COLUMN コラム

【自活研・小林理事長の自転車コラムその21】~もし現代に目安箱があったらこんな嘆願書を~

 前略、首長並びに議員各位殿。
 平素は国民生活のためひとかたならぬご尽力をたまわり、深くお礼申し上げます。
 今般は、ごく些細なことではありますが、庶民の代表としてご政道を正していただきたくご陳情いたします。
 ご存じのとおり、健康と環境意識の高まり、ガソリン価格の高騰、高齢社会の深化などにより、自転車利用が増加するにつれ、ルールを無視した利用者も増え、交通事故に占める自転車事故の割合は高まり、特に対歩行者の事故が増えております。
 これに対し、政府・交通対策本部は2007年7月に「自転車安全利用五則」を決定し、自転車の交通秩序整序化に向けて総合的な対策を推進することになり、既に5年が経過しております。 
 改めて言うまでもありませんが、五つのルールは「1.自転車は、車道が原則、歩道は例外。2.車道は左側を通行。3.歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行。4.安全ルールを守る(飲酒運転・二人乗り・並進の禁止、夜間はライトを点灯。交差点での信号遵守と一時停止・安全確認)5. 子どもはヘルメットを着用」というものです。
 今日、事態はいっこうに改まらず、最近では歩道を安心して歩くことがむつかしくなり、自転車を乗り回す元気な子どもたちに注意すると、「バーカ!」と言い返されるありさまです。
 大人たちが悪い見本を日々示していては、子どもたちに遵法精神は養われません。特に、歩道を勘違いして走る人たちが交差点や曲がり角でクルマに撥ねられているという統計が確認され、歩道通行そのものが自転車事故の大きな要員になっているという認識も高まってきました。事故を誘発するような歩道通行のお手本では困ります。
 言うだけで実行しない風潮がはびこるのは、政治がまさにその範を垂れているからだという声もありますが、ここは正義の味方の登場を期待したいと思います。
 もっとも身近な正義の味方といえば、やはり「お巡りさん」が筆頭でありましょう。しかるに、お巡りさんたちが白い自転車で「例外」であるはずの歩道を、ほとんどの場合「徐行」せず、場合によっては「並進」している現状では、子どもたちが勘違いするのも無理はありません。昨年10月の警察庁の「自転車は車両」との通達で、多くの警察官が自転車で車道左側を通行するようになったことは大いに歓迎ですが、拝見しているとあまりにもクルマに遠慮して道路の端っこを恐る恐る通っています。これではクルマ側の勘違いも改まりません。たくさんの心あるサイクリストのように、堂々と道路の一員としてルールを守り、颯爽と走ってもらいたいものです。
 また、車道を左側通行しないから、路上駐車の危険にも気づかず、街の秩序が乱れていくのではないでしょうか。自転車のマナーについては日頃から意識の高い警察が、率先してヘルメットを着用し、手信号して路上駐車の危険を指摘しつつ走ってくれると、世の中はもっと平和に安全になるのではないでしょうか。
 来年には参議院議員選挙、東京都議会議員選挙があります。その前には総選挙も噂され、政治家諸氏は有権者の顔色を窺う季節となります。こうした機会に、この件を議会で取り上げ、各警察署に「隗より始めよ」と要望していただきたいのです。
 後ろめたいことがあるので警察には何も言えないような方には投票しないよう、私たちも努力することをお約束いたします。なにとぞご高配くださいますようお願い申し上げます。草々

【月刊サイクルビジネスより改訂して再掲】

PAGE TOP