COLUMN コラム

【自活研・小林理事長の自転車コラムその62】~自転車業界に政治を動かす気概を期待したい~

 自転車活用推進議員連盟(谷垣禎一会長)の動きが活発になってきた。かつて政権交代のどさくさで足かけ3年もの間、休眠状態にあったのが、2013年4月によみがえり、提言をまとめる作業を始め、業界団体との意見交換の場を開き、海外からの客も数組受け入れ、まとめられた提言は政府やオリンピック・パラリンピックを開催する東京都に届けられた。最盛期、108名が所属した大議連が一時期50名を下回るところまで衰退したのが、また145名になったと事務局長を務めておられる金子恭之代議士の事務所から知らせがあった(2017年7月現在)。慶賀に堪えない。
 
 東京都知事や弁護士会、自転車業界などとの意見交換を重ね、自転車活用推進法の制定に漕ぎ着ける顛末については、別に書くことにする。
 
 もともと、この議連は超党派である上に、一般のサイクリストとの太いパイプを維持してきた歴史がある。2007年に、道路交通法改正で自転車の歩道通行が拡大されようとしたおりには、NPO自転車活用推進研究会のメンバーが、議連総会で政府側を問い詰める場面を許してくれた。「自転車は車道が原則・歩道は例外」との閣議了解された方針は、そうした開かれた議論から生まれたといって過言ではない。2014年の提言のとりまとめについても、最終局面で一般からに意見も聞きたいと大集会を開催し、数百名が呼応して広い講堂を埋め尽くした。
 
 時代は自転車政策に追い風である。選挙区を抱えている政治家たちは、きわめて敏感に時代の風を読んでいる。だからといって、自転車を巡る政策は簡単ではない。もっとも大きな抵抗は、自転車政策を進めたからといって、特に恩義を感じたり、莫大な予算を地元に誘導したり、という「うま味」がほとんどないことだ。つい後回しにされがちだった過去を振り返ると、特定の利益団体の圧力ではなく、市井の国民の声を真剣に聞こうという嬉しい変化を感じ取ることができる。
 
 喜ばしいものの、私たちとしては油断ができない。もっと人目を引くテーマが登場するとすぐ忘れられそうだ。そこで、私たちのような市民団体ではなく、メーカーや販売店の団体などが、もっとまじめに自転車政策に取り組め!と大声を出してもらいたいものだ。量より質、ブームから文化へと成熟させるには、強力な圧力団体の登場が必要なのではないか。がんばれ!業界。
 
【月刊サイクルビジネスより改訂して再掲】
 

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